研究課題/領域番号 |
16K14368
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
建築史・意匠
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研究機関 | 山梨県富士山科学研究所 |
研究代表者 |
奥矢 恵 山梨県富士山科学研究所, その他部局等, 研究員 (40771689)
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研究分担者 |
大場 修 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (20137128)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2018年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2017年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2016年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 山小屋建築 / 山岳信仰 / 富士山 / 吉田口登山道 / 石室 / 茶屋 / 近代化 / 山岳景観 / 御嶽山 / 原初形態 |
研究成果の概要 |
本研究は、富士山における山小屋建築を対象にその原初形態と発展過程、変容について調査した。山小屋は祠堂、あるいはその付属屋として派生した。なかでも、焼山と呼ばれた厳しい自然環境下に成立した石室は修行の場であり避難所でもあった自然の石窟を原初形態とし、板小屋を噴石や溶岩で覆うようにして造られたが、昭和の高度成長期までに石積みを減じて近代化したことが明らかとなった。 さらに、近世の主たる4登山道における山小屋建築の所有・所在と形態を比較した。富士山の神聖性は、各々の登山口集落の形態が連続する草山・木山の茶屋に対して、焼山と一体化し共通した形態をもつ石室群によって表徴されたことが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本では古来より山地が信仰の対象とされ、なかでも近世には庶民が講を組織して高山の山頂をめざしたが、その登拝活動を支えたのは山小屋の存在であった。従来の建築史研究では山岳信仰にまつわる寺社や麓集落が着目され、また民家史研究では主屋に主眼が置かれ、小屋という類型は看過されてきた。本研究は、近世以前に遡る山岳信仰にねざした山小屋建築として、富士山の、特に高山域(焼山)における石室に着目し、その歴史的・文化的・建築的意義を明らかにした。 世界文化遺産である富士山は現在、山小屋の修景に課題が指摘されている。山小屋建築の将来像を模索する上で本研究の成果が果たす役割は大きく、今後はその還元にも力を注ぎたい。
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