研究課題
挑戦的萌芽研究
本研究では、イネカルス抽出液を利用する無細胞タンパク質合成系を確立した。この系の特性の解析により、GTP無添加条件でのタンパク質合成が可能な一方、抽出液内在性のヌクレアーゼによるmRNA分解で生じるGMPよりGTPが生成することを確認した。そこで、GTPが翻訳に必須か否かを検証するため、Gを含まないpoly(U)を鋳型とする翻訳伸長活性測定を進め、GTP非依存的なペプチド伸長活性を確認するに至った。並行して、酵母の無細胞翻訳系のGTP依存性をイネカルス抽出液のものと比較を行った結果、酵母においてはGTP添加がペプチド伸長活性をより亢進させ、イネの系と明瞭に異なることを確認した。
新たに確立したイネカルス無細胞翻訳系は、1 mlあたり数百マイクログラム相当のタンパク質合成が可能で、精製用ヒスチジンタグの利用による合成タンパク質の精製も可能であり、生化学的機能解析用のタンパク質合成系に実用化できる生産性を有すると考える。また、薬害試験の対象となるヒト心筋カリウムチャネルタンパク質hERGの合成について検証したところ、脂質二分子膜ベシクル添加条件で、hERGとその再構成促進因子との共合成により、活性型hERGの効率的再構成系の構築が可能であることを確認した。このように、確立したシステムが、創薬関連タンパク質の機能型再構成系の構築にも資することを確認できた。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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