研究課題/領域番号 |
16K14796
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
生物多様性・分類
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高木 昌興 北海道大学, 理学研究院, 教授 (70311917)
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研究協力者 |
齋藤 武馬
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2018年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2018年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2017年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2016年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | アカショウビン / 非鳴禽類 / 鳴き声 / 局所適応 / 環境騒音 / 交配前隔離機構 / 生態的種分化 / GPSデータロガー / 非学習形質 / 音響特性 / 環境構造 / 移動分散制限 / 島嶼 / 音響環境 / 亜種 / 帰還 / 移動分散 / 衛星追跡 / 音声適応 / 島嶼棲鳥類 |
研究成果の概要 |
アカショウビンの広告声は島によって異なり、その違いは島の環境騒音が大きい周波数帯を回避した結果と考えられた。音声再生実験は、同じ島の他個体の広告声により強く反応することを検出した。広告声の認識は島が単位と考えられた。広告声への反応の違いは、出生島嶼を同じくする同類交配による交配前隔離の存在を示唆する。mtDNA-COI領域の解析は琉球列島が大きく遺伝的に二分されることを示した。遺伝的二系統の分布と広告声の周波数の分布は一致した。琉球列島のアカショウビンは、往来が可能な島間でも、それぞれの島における環境騒音に局所適応した広告声の特徴が、交配前隔離を成立させ、遺伝子交流を妨げている可能性を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
鳥類の移動能力は大きい。本研究のアカショウビンは、1000km以上離れたフィリピンの島嶼まで海上4000mの高度を飛翔し移動することをGPSデータロガーが明らかにした。一方、往来が可能と考えられる琉球列島の島間では、移動が制限されていることが、遺伝的な構造の存在によって確かめられた。ある島で生まれた雄のアカショウビンが異なる島に移動して繁殖を試みても、なわばり防衛ができず配偶できない可能性がある。局所適応の結果生じた生得的な鳴き声は、交配前隔離に貢献することになる。すなわち本研究は生物一般においてもあまり例がない生態的種分化の事例を提供するものであり、鳥類において確認されたことは特筆に値する。
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