研究課題/領域番号 |
16K14805
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
生態・環境
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
嶋田 正和 東京大学, 大学院総合文化研究科, 名誉教授 (40178950)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2018年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2017年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2016年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 細胞性粘菌 / 協力行動 / 進化動態 / 細胞系譜 / 社会分業 / 社会形成 / 裏切り行動 / 進化ゲーム / 分業 / DNAバーコード / 裏切りと協力の細胞ダイナミクス / DNAバーコーディング / 細胞系譜の遺伝系図 / 数理モデル |
研究成果の概要 |
協力がどのように進化の過程で維持されるか検証するため、細胞性粘菌を用いて、キメラ実験と進化実験を行なった。単細胞状態の方が有利な環境が訪れ、協力が失われていく状況を想定して、協力を行う集団に単細胞状態への移行を開始した系統を侵入させるキメラ実験を行った。その結果単細胞状態へ移行する細胞は、他の細胞との相互作用の中で、自己犠牲的な役割を押し付けられた。これは細胞性粘菌が、協力が不利な場面でも協力を維持する社会機構を持つことを示唆している。実際の進化過程を検証するため突然変異体集団を作り進化実験を行った。今後条件検討を繰り返すことで、定量的に各突然変異系統の個体数変化を計測できる見通しが立った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
生物が複雑な社会性を進化させるためには、安定して協力を継続する必要がある。しかし協力の継続は、いくつかの要因で阻害されうる。一つは協力を搾取する裏切り行動の侵入である。もう一つは環境変動で協力よりも単独行動が有利となれば協力はあっさり失われるだろう。これまで前者に対しては、多くの解決策が見出されてきた。しかし後者は説明が難しく国内外でも研究例が少ない。本研究は、細胞性粘菌が既に持っている社会分業体制が、副産物として単独行動が有利な環境でも協力を維持するのに役立つことを世界に先駆けて示している。さらにこの独自の実験系を用い、進化動態を実測する手法を開発途上にあり、今後さらなる発展が見込まれる。
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