研究課題
挑戦的萌芽研究
胆汁酸は、胆道および腸管の浄化作用を担うだけでなく、種々の生理作用を引き起こす重要な情報伝達物質として働くことが明らかになってきた。私達は胆汁酸が脂質メディエーターであるスフィンゴシン-1-リン酸(S1P)の特異的受容体に直接作用し、細胞内情報伝達を活性化することを報告してきた。本研究では、胆道疾患(胆嚢炎、胆嚢癌、胆管癌等)における胆汁酸とS1P情報伝達機構について研究を行った。本研究では、各胆道疾患の胆汁及び組織中のS1P濃度を測定し、胆道癌組織では正常組織と比較してS1P濃度が有意に上昇していることを明らかにした。さらにS1Pが胆道癌のリンパ行性転移に寄与していることを明らかにした。
本研究は、胆道疾患において胆汁及び組織中のS1P濃度を質量分析装置で測定した初めての研究であり、学術的に意義がある。また、ヒトの胆道癌組織を用いた解析により、生体内の胆道癌組織においてもこれまでの基礎実験と同様、S1Pが癌のリンパ行性転移に寄与していることを明らかにしたことは臨床的に意義がある。今後、胆道癌のリンパ行性転移におけるS1Pの役割を明らかにすることで、胆道癌のリンパ行性進展転移を制御する新たな治療法開発へつながる可能性が期待される。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 7件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 10件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件)
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