病院排水中に残留する医薬品成分を対象にした新規水処理技術の開発と有効性評価

• 研究課題/領域番号: 16K16218
• 研究種目: 若手研究(B)
• 配分区分: 基金
• 研究分野: 環境リスク制御・評価
• 研究機関: 大阪薬科大学
• 研究代表者: 東 剛志 大阪薬科大学, 薬学部, 助教 (10634222)
• 研究期間 (年度): 2016-04-01 – 2019-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2018年度)
• 配分額: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円); 2018年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円); 2017年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円); 2016年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
• キーワード: 医薬品類 / 病院排水 / 下水処理場 / 河川環境 / 除去効率 / 負荷量 / 高度処理 / 生物処理 / 環境リスク緩和措置 / 河川 / 汚濁負荷 / 環境技術 / オゾン処理 / 流域管理

研究成果の概要

本研究では、国内の病院から公共下水道に放流される排水中に存在する医薬品成分の存在実態についての調査を行うとともに、医療機関において水処理を行うことによる環境への負荷低減影響について評価を試みた。その結果、病院排水中に種々の医薬品成分が存在しており、これらは下水処理場の水処理工程で一部は除去されるが、十分に除去されずに河川へと放流される傾向にあり、病院排水に由来する負荷割合が高い成分も存在していることが明らかになった。しかしながら、オゾン処理等の高度処理を併用することで効率の高い除去を行うことが可能であり、水処理の高度化を行うことが有効な対策の1つとなりうることが示唆された。

研究成果の学術的意義や社会的意義

本研究は、医療機関に由来する排水中に存在する医薬品の存在実態と環境への負荷影響を明らかにするとともに、環境中に流入する医薬品成分による環境リスクの削減又は軽減対策として、水処理の高度化の展望を明らかにしている。本研究により得られた成果は、医療先進国であることが知られている日本において意義深く、欧米等の先進国や、急速に発展を続けるアジア諸国においても同様の対策検討の発展への寄与が期待される。

研究成果

• [雑誌論文] Environmental fate of pharmaceutical compounds and antimicrobial-resistant bacteria in hospital effluents, and contributions to pollutant loads in the surface waters in Japan (2019)
  • 著者名/発表者名: Azuma T., Otomo K., Kunitou M., Shimizu M., Hosomaru K., Mikata S., Ishida M., Hisamatsu K., Yunoki A., Mino Y., Hayashi T.
  • 雑誌名: Science of the Total Environment 巻: 657 ページ: 476-484
  • DOI: 10.1016/j.scitotenv.2018.11.433
  • 査読あり
• [雑誌論文] Removal of pharmaceuticals in water by introduction of ozonated microbubbles (2019)
  • 著者名/発表者名: Azuma T., Otomo K., Kunitou M., Shimizu M., Hosomaru K., Mikata S., Mino Y., Hayashi T.
  • 雑誌名: Separation and Purification Technology 巻: 212 ページ: 483-489
  • DOI: 10.1016/j.seppur.2018.11.059
  • 査読あり
• [雑誌論文] 医療機関を対象にした新規水処理技術の開発 (2018)
  • 著者名/発表者名: 東 剛志
  • 雑誌名: 薬学雑誌 巻: 138 号: 3 ページ: 289-296
  • DOI: 10.1248/yakushi.17-00177-4
  • NAID: 130006410641
  • ISSN: 0031-6903, 1347-5231
  • 年月日: 2018-03-01
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Performance and efficiency of removal of pharmaceutical compounds from hospital wastewater by lab-scale biological treatment system (2018)
  • 著者名/発表者名: Azuma T., Otomo K., Kunitou M., Shimizu M., Hosomaru K., Mikata S., Mino Y., Hayashi T.
  • 雑誌名: Environmental Science and Pollution Research 巻: 25 号: 15 ページ: 14647-14655
  • DOI: 10.1007/s11356-018-1688-9
  • 査読あり
• [雑誌論文] Distribution of anticancer drugs in river waters and sediments of the Yodo River basin, Japan (2018)
  • 著者名/発表者名: Azuma T
  • 雑誌名: Applied Sciences 巻: 8 号: 11 ページ: 1-17
  • DOI: 10.3390/app8112043
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 医療機関に由来する排水中に存在する医薬品成分と高度処理技術の開発 (2018)
  • 著者名/発表者名: 東 剛志, 石打浩隆, 井ノ山智美, 寺西裕亮, 山岡美里, 有馬夏美, 塚田 愛, 平見 悟, 松岡里枝, 森分亮伍, 石田真麻, 久松佳苗, 柚木彩実, 大友香奈, 國頭茉莉, 清水麻衣, 細丸 薫, 三方志織, 三野芳紀, 天滿 敬, 林 哲也
  • 雑誌名: 循環制御 巻: 39 号: 1 ページ: 24-27
  • DOI: 10.11312/ccm.39.24
  • NAID: 130006729503
  • ISSN: 0389-1844
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 医薬品による環境汚染問題─実態・生態影響・浄化技術─ (2018)
  • 著者名/発表者名: 緒方文彦, 東 剛志
  • 雑誌名: 薬学雑誌 巻: 138 号: 3 ページ: 269-270
  • DOI: 10.1248/yakushi.17-00177-F
  • NAID: 130006410642
  • ISSN: 0031-6903, 1347-5231
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 医療機関に由来する排水中に存在する医薬品類の存在実態の解明と高度処理技術の開発 (2018)
  • 著者名/発表者名: 東 剛志
  • 雑誌名: 日本製薬工業協会 かんきょうニュース (JPMA Environment News) 巻: 127 ページ: 5-8
  • 査読あり
• [雑誌論文] 医療機関に由来する排水中に存在する医薬品類の存在実態の解明と高度処理技術の開発 (2018)
  • 著者名/発表者名: 東 剛志
  • 雑誌名: 日本製薬工業協会 製薬協ニューズレター 巻: 184 ページ: 6-6
  • 査読あり
• [雑誌論文] A method for evaluating the pharmaceutical deconjugation potential in river water environments (2017)
  • 著者名/発表者名: Azuma T., Ishida M., Hisamatsu K., Yunoki A., Otomo K., Kunitou M., Shimizu M., Hosomaru K., Mikata S., Mino Y.
  • 雑誌名: Chemosphere 巻: 180 ページ: 476-482
  • DOI: 10.1016/j.chemosphere.2017.04.040
  • 査読あり
• [雑誌論文] Fate of new three anti-influenza drugs and one prodrug in the water environment (2017)
  • 著者名/発表者名: Azuma T., Ishida M., Hisamatsu K., Yunoki A., Otomo K., Kunitou M., Shimizu M., Hosomaru K., Mikata S., Mino Y.
  • 雑誌名: Chemosphere 巻: 169 ページ: 550-557
  • DOI: 10.1016/j.chemosphere.2016.11.102
  • 査読あり
• [雑誌論文] Distribution of six anticancer drugs and a variety of other pharmaceuticals, and their sorption onto sediments, in an urban Japanese river (2017)
  • 著者名/発表者名: Azuma T., Arima N., Tsukada A., Hirami S., Matsuoka R., Moriwake R., Ishiuchi H., Inoyama T., Teranishi Y., Yamaoka M., Ishida M., Hisamatsu K., Yunoki A., Mino Y.
  • 雑誌名: Environmental Science and Pollution Research 巻: 24 号: 23 ページ: 1901-19030
  • DOI: 10.1007/s11356-017-9525-0
  • 査読あり
• [雑誌論文] 下水処理場に流入する医薬品を用いたインフルエンザの流行把握 (2016)
  • 著者名/発表者名: 東 剛志, 中村裕樹, 亀井美和子, 三野芳紀
  • 雑誌名: 用水と廃水 巻: 58 ページ: 821-827
  • NAID: 40020991403
  • 査読あり / 謝辞記載あり
• [学会発表] 河川環境中における薬剤耐性菌の存在実態とオゾン処理による有効性評価 (2019)
  • 著者名/発表者名: 東 剛志、三野芳紀、林 哲也
  • 学会等名: 日本オゾン協会第28回年次研究講演
  • 招待講演
• [学会発表] 医療機関と環境の関わり－医療機関における新規水処理技術の開発－ (2019)
  • 著者名/発表者名: 東 剛志
  • 学会等名: 国立研究開発法人科学技術振興機構（JST）未来社会創造事業「世界一の安全・安心社会の実現」生活環境に潜む微量な危険物から解放された安全・安心・快適なまちの実現 キックオフ会合
  • 招待講演
• [学会発表] 河川流域における薬剤耐性菌の存在実態 (2019)
  • 著者名/発表者名: 東 剛志、三野芳紀、林 哲也
  • 学会等名: 第53回日本水環境学会年会
• [学会発表] 医薬品類による環境汚染問題の最新動向－水環境中での動態と除去技術の開発－ (2019)
  • 著者名/発表者名: 東 剛志
  • 学会等名: 平成30年度全国環境研協議会有害化学物質部会 東海近畿北陸支部
  • 招待講演
• [学会発表] 医薬品成分による水環境汚染問題の評価と環境リスク削減技術の開発 (2018)
  • 著者名/発表者名: 東 剛志
  • 学会等名: 日本オゾン協会第36回オゾン技術に関する講習会・見学会
  • 招待講演
• [学会発表] 河川環境中における医薬品成分の脱抱合性評価法の開発 (2018)
  • 著者名/発表者名: 東 剛志、石田真麻、久松佳苗、柚木彩実、天滿 敬、藤本陽子、三野芳紀、林 哲也
  • 学会等名: 第52回日本水環境学会年会
• [学会発表] 医療機関を対象にした新規水処理技術の開発 (2017)
  • 著者名/発表者名: 東 剛志
  • 学会等名: 日本薬学会第137年会
  • 発表場所: 仙台国際センター・東北大学（宮城県仙台市）
  • 年月日: 2017-03-24
  • 招待講演
• [学会発表] Distribution of pharmaceuticals in clinical wastewater from medical institutions and development of advanced water treatment systems (2017)
  • 著者名/発表者名: Azuma T., Otomo K., Kunitou M., Shimizu M., Hosomaru K., Mikata S., Ishida M., Hisamatsu K., Yunoki A., Hisamatsu K., Yunoki A., Arima N., Tsukada A., Hirami S., Matsuoka R., Moriwake R., Ishiuchi H., Inoyama T., Teranishi Y., Yamaoka M., Mino Y., Tenma T., Fujimoto Y. Hayashi T.
  • 学会等名: 15th International Congress of Therapeutic Drug Monitoring & Clinical Toxicology 2017 (IATDMCT 2017)
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] 医療機関を対象にした新規水処理技術の開発 (2017)
  • 著者名/発表者名: 東 剛志
  • 学会等名: 日本薬学会第137年会
  • 招待講演
• [学会発表] 医療機関に由来する排水中に存在する医薬品成分と高度処理技術の開発 (2017)
  • 著者名/発表者名: 東 剛志
  • 学会等名: 第38回日本循環制御医学会総会・学術集会
  • 招待講演
• [学会発表] 医薬品成分による水環境汚染の実態及び挙動の解明と、環境リスク削減技術の開発 (2017)
  • 著者名/発表者名: 東 剛志
  • 学会等名: 武田薬品化学工業株式会社 環境安全管理部セミナー
  • 招待講演
• [学会発表] 医療機関に由来する排水中に存在する医薬品類の存在実態の解明と高度処理技術の開発 (2017)
  • 著者名/発表者名: 東 剛志
  • 学会等名: 日本製薬工業協会 環境安全部会 第23回環境と安全に関するセミナー
  • 招待講演
• [学会発表] Distribution of pharmaceutically active compounds in clinical wastewater from hospital effluent in Japan (2016)
  • 著者名/発表者名: Azuma T., Arima N., Tsukada A., Hirami S., Matsuoka R., Moriwake R., Ishiuchi H., Inoyama T., Teranishi Y., Yamaoka M., Mino Y., Hayashi T., Fujita Y., Masada M.
  • 学会等名: IWA World Water Congress & Exhibition 2016
  • 発表場所: Brisbane, Australia
  • 年月日: 2016-10-09
  • 国際学会
• [学会発表] 医療機関に由来する排水を対象にした水処理技術の開発 (2016)
  • 著者名/発表者名: 東 剛志, 大友香奈, 國頭茉莉, 清水麻衣, 細丸 薫, 三方志織, 石田真麻, 久松佳苗, 柚木彩実, 三野芳紀, 林 哲也, 藤田芳一, 政田 幹夫
  • 学会等名: 第66回日本薬学会近畿支部総会・大会
  • 発表場所: 大阪薬科大学（大阪府高槻市）
• [学会発表] 抗インフルエンザによる水環境汚染の把握と挙動の解明 (2016)
  • 著者名/発表者名: 石田真麻, 久松佳苗, 柚木彩実, 三野芳紀, 東 剛志
  • 学会等名: 第66回日本薬学会近畿支部総会・大会
  • 発表場所: 大阪薬科大学（大阪府高槻市）
• [備考] 研究室のホームページ
  • URL: https://www.oups.ac.jp/kenkyu/kenkyuushitu/kankyoubunsi.html
• [備考] 創薬と環境に関するプロジェクト
  • URL: https://www.oups.ac.jp/gakujutsu/koryuworking/index.html
• [備考] 研究室のホームページ
  • URL: http://www.oups.ac.jp/kenkyu/kenkyuushitu/yakuhinbunseki.html
• [備考] 創薬と環境に関するプロジェクト
  • URL: http://www.oups.ac.jp/gakujutsu/koryuworking/index.html