研究課題/領域番号 |
16K16342
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
文化財科学・博物館学
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所 |
研究代表者 |
大原 啓子 (貴田啓子) 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, 客員研究員 (20634918)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2017年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2016年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 紙の劣化 / cellulose / 緑青焼け / セルロース / SEC-MALLS / 銅イオン / セルロース分子量 / 文化財保存科学 |
研究成果の概要 |
群青顔料または真鍮泥による「焼け」の劣化現象について「緑青焼け」と比較すると、群青顔料使用では、変色およびセルロース分子量低下が緩やかに進行した。また、真鍮泥使用では、いずれの劣化現象も、緑青顔料よりも早く進行した。一方、変色の経時変化と、セルロースの分子量経時変化では、異なる挙動を示し、変色とセルロースの分子量低下を伴う劣化は、異なる機構で進行することが示唆された。 緑青顔料の水溶性銅イオン量は、粒度、顔料の種類、また媒材である膠の性質に依存し、銅イオン量と緑青焼けの促進程度には、強い相関があったことから、性質の異なる膠を選択することで、焼けの影響を制御できる可能性を見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
緑青焼けの主要因である銅イオンが紙の劣化に及ぼす影響を調べる上で、緑青のみならず銅含有顔料として群青顔料および真鍮泥の劣化現象に着手し、これらを比較検討することにより、「緑青焼け」との類似点、相違点が見つかった。一方、紙の劣化を促進する顔料由来の銅イオンについて、顔料-膠分散液中の銅イオン濃度を測定することにより、彩色材中の水溶性銅イオン溶出量が、顔料の粒度、種類、または膠の性質により異なることを見出し、文化財の修復処置では確実な除去が必要であることを示した。また、性質の異なる膠を修復処置に用いて、銅イオン溶出量を制御できる可能性を見出し、処置方法改善に寄与する結果となった。
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