本研究は、大正期の旧制中等教育の国語科教科書に収録された谷崎潤一郎・菊池寛・志賀直哉・芥川龍之介の作品の表現や内容を、原作のそれと比較し、両者の相違に関する問題を考察することを目的としている。具体的には、主として、次の三点の研究を行った。第一に、両者の表現や内容の異同表を作成した。第二に、学習指導要領等を参考にすることによって、後者が前者に書き換えられた理由を明らかにしようと試みた。第三に、後者の一部を書き換えた結果として、前者において何が失われてしまったのかを考察した。これらの三点に基づく研究を今後さらに追求していく予定である。
|