研究課題/領域番号 |
16K16790
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
英米・英語圏文学
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研究機関 | 日本大学 (2019) 目白大学 (2016-2018) |
研究代表者 |
岡島 慶 日本大学, 経済学部, 准教授 (10710569)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2018年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2017年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2016年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 黒人文学 / 子ども / ポスト植民地主義 / パリンプセスト / 黒人ディアスポラ / 人種 / アフロ・フューチャリズム / 子ども表象 / 黒人女性 / セクシュアリティ / 幽霊 / アフリカ的死生観 / 人道主義批判 / 英米文学 / アフリカン・ディアスポラ |
研究成果の概要 |
本研究では、現代英語圏黒人文学において頻出する子どもの人物に焦点を当てた。こうした子どもが黒人ディアスポラ共同体における文化的差異を越え、どのような特色を持ち、いかなる役割を果たすのかを比較文学的に調査した。その結果、現代英語圏黒人文学に登場する子どもたちは、「パリンプセスト」とも言うべき特質が備わっていることが判明した。西欧文化において「イノセント」の象徴として登場する子どもとは異なり、黒人の子どもたちは、「過去」や「記憶」と密接に結びついており、彼らの身体には民族の傷が深く刻まれている。しかし、その過去の傷にこそ、連綿と続く暴力や差別の世界で生き、抗うための英知が秘められている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
子どもが主要な登場人物として描かれる作品は枚挙にいとまがない。しかし、本研究が行ったポスト植民地主義の文脈から英語圏黒人文学における子ども表象に特化した研究は驚くほど少ない。本研究で判明したとりわけ興味深い点は、黒人の子どもの登場人物が二重の歴史性を帯びる点である。すなわち、古くからある黒人=子どもという植民地主義言説を意図的に照射し、これを転覆させながら、貧困や戦争、人種差別といった21世紀における新たな世界的問題をあぶりだしていくのだ。本研究の学術的意義は、英語圏黒人文学における子どもたちに付与されたこのような特質を浮かび上がらせた点にある。
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