研究課題/領域番号 |
16K16803
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
ヨーロッパ文学
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研究機関 | 東京大学 (2018-2019) 首都大学東京 (2016-2017) |
研究代表者 |
山本 潤 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (50613098)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2017年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2016年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ドイツ中世文学 / 歴史性 / 虚構性 / 英雄叙事詩 / 作者性 / 独文学 / 歴史意識 |
研究成果の概要 |
口誦の英雄譚の持つ歴史性は、文化的記憶との直接的接続を通して保証されており、その作者性は伝承の伝統そのものに帰せられた。しかし中世盛期に英雄伝承を素材として書記的に詩作されたドイツ英雄叙事詩は救済史ないしは帝国史的歴史構造に関連付けられ、その歴史性を保証する根拠およびその作者性は、聖書や特定の聖職者を通し神に求められるようになる。中世後期に印刷され人気を博した「英雄本」所収の英雄叙事詩は、登場人物の名前やそれに連関する地名といった歴史の断片を内包しつつも、物語自体には特定の歴史構造の一部としての歴史性はもはや認められず、虚構へと接近している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、2010年代のドイツ中世研究において主要な論点の一つとなっている、英雄叙事詩の有する歴史性に関する認識の再検討の文脈で行われたものであり、ドイツ語圏における同主題に関する研究に参画する契機となる可能性を持つものである。また、テクストの作者性という視点の導入を通し、書記化を契機に変容してゆく英雄詩の歴史性/虚構性の諸相の解明を目指すというアプローチは、複数の研究主題を有機的に統合するものであり、中世英雄叙事詩研究に新たな視座を提供する。本研究ではドイツ語圏の研究者との緊密な意見交換および共同コロキウムを開催しており、国際的な共同研究の基盤構築に貢献するものである。
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