研究課題/領域番号 |
16K16865
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
日本語教育
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研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
白戸 智子 (松永智子) 東京経済大学, コミュニケーション学部, 准教授 (60735801)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2017年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2016年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 日本語メディア / ハワイ / 移民 / エスニック・メディア / 聞き取り / アウトプット / 加藤秀俊 / 柳田國男 / メディア論 / 世相史 / パーソナルコミュニケーション / 交通 / 大河ドラマ / エスニシティ / 地域メディア / コミュニティ / 災害報道 / 英字新聞 / O-Bon Festival / テレビ / 移動 / エスニックメディア / 家族 / インタビュー / 日本語 / 日本語教育 / メディア史 / 歴史社会学 |
研究実績の概要 |
本年度の主たる取り組みは、昨年度までの課題であった「ハワイの日本語メディアに関する聞き取りデータを、いかなる手段・方法・場所で公表するか」をめぐり、実験的な論考の投稿を通じて検討したことである。具体的には、熊本を拠点とする文芸誌『道標』(人間学研究会、79号、2022年)に「カーラジオのニホンゴー島の暮らしと「移民」のメディア(二)」を発表した。投稿の過程では、研究倫理の遵守を意識し、論考の表記や事実関係についてインフォーマントとのやり取りも重ねた。加えて、話し手の「語り」と、聞き手であり書き手となる私の「実感」をあらわす文体および構成について実験した。これについては、昨年度に取り組んだ社会学者・加藤秀俊(1930-)と民俗学者・柳田國男(1875-1962)の名著研究の影響を受けている。「学術的な意義を持ちながら、文学性のある表現はいかに可能か」を模索しながら執筆した論稿について、創刊者である渡辺京二(1930-2022)氏を中心とした『道標』同人からフィードバックを得られたことは、本研究課題の重点をインプットからアウトプットに移行する点で少なからぬ成果となった。2023年度も同誌への投稿を続け、最終成果となる書籍の刊行につなげたい。 一方で、本課題を「移民」「エスニック・メディア」の社会学的研究の流れに位置づけるための理論的検討も行なった。『越境者たちのロスアンジェルス』(平凡社、1999年)の著者で、新たに「エスニック・メディアの"その先"」を研究する社会学者・町村敬志氏らとの交流は、新たな研究コミュニティ構築の機会となった。総じて本年度の実績は、「書く」ためのアクセルを踏む場の開拓にあるといえるだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二度の産休・育休とパンデミックによる移動の制限という、本研究課題がスタートした時点とは異なる環境に身を置くなかで、研究計画と自己点検・評価の基準を大幅に見直した。客観的にみれば、研究実績に乏しく「順調」とは言えないだろう。ただし、当初の想定より大幅に時間がかかっても、最終成果に向けて着実に研究を進めている点で当該評価とし、次年度はこのペースを加速し、計画に沿って精力的に活動したい。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2023年度は、2022年度と同様にこれまで収集した聞き取り・文献資料を用いた論考の発表に重点を置く。その過程で必要と判断した場合は、追加調査に出かけることも検討している。2024年度に繰り越す可能性も見据えながら、海外での研究発表の準備も進めたい。また、2022年度から、勤務校で新規科目「メディア文化論」(半期、15回)を担当し、本研究課題の成果を散りばめた講義を行なっている。講義もまた、研究へのフィードバックを得る貴重な機会であることを実感した。2023年度も同科目を担当するため、書籍化を意識した構成で臨む予定である。
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