研究課題/領域番号 |
16K17300
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
社会心理学
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
村山 綾 近畿大学, 国際学部, 講師 (10609936)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2018年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2017年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2016年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 公正推論 / 時間認識 / 世代間比較 / 文化比較 / 宗教性 / 日米比較 / 道徳基盤 |
研究成果の概要 |
本研究では、(1)宗教性の程度によって、不運に対する公正推論(公正な世界の存在を求めるがために行う、「悪いことをしたら必ず罰を受ける」に代表されるような非合理的な推論)のしやすさに関する文化差が説明できるのか、(2)公正推論と時間認識との関連を検討した。そして、(1)日本人はアメリカ人よりも宗教への熱心さや信仰心が低く、遠い未来の補償をもって現状の不公正を回復しようとする推論を行いにくいことが示された。また、日本人では、現在に対してポジティブな印象を持つ若者と高齢者、および、将来の見通しを立て、未来に向かって計画的に行動しようとする高齢者において、究極的公正推論が行われやすいことが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究を通して、おおむね仮説を支持する分析結果が得られ、日本人が究極的公正推論を行いにくいことには宗教性の低さが関連していることや、個人の時間認識と公正推論に関連があることが示された。特に日本人は、現在の不公正を過去の道徳的失敗に強く帰属する傾向が見られた。公正推論については、これまで欧米を中心に知見が積み重ねられ、理論が発展してきたが、東アジア地域では欧米と異なる傾向がある可能性を示したという点で学術的な意義は大きく、今後は理論のさらなる精緻化が期待される。極端な内在的公正推論を避け、究極的公正推論を通した不公正状態の回復手段をいかにして持ちうるかについて、今後考えていく必要があるだろう。
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