研究課題
若手研究(B)
本研究では,大学生を対象に睡眠の主観的,客観的評価と,心理生理学的ストレス反応や心理社会的要因との関連性がいかに異なるかを検討した。その結果,主観的睡眠に比較して,客観的な睡眠の方が日常生活で経験するストレスや気分,心理社会的要因に影響を受けやすい可能性が示唆された。さらに,客観的に睡眠習慣が乱れていると評価された大学生では,実験室で急性ストレスを負荷した際の唾液バイオマーカーの反応性が低下していること,客観的な睡眠効率や,睡眠時の心拍数が主観的幸福感と関連することが示された。一方,主観的睡眠評価ではそのような関連性が認められなかった。
本研究は,主観的及び客観的睡眠評価が心身の健康やストレス反応に反映する側面や特徴を明らかにすることを目標としており,社会に貢献できる基礎と臨床の橋渡し研究として意義がある。国内外を問わず,大学生を対象にした睡眠に関する研究の大部分は,質問紙調査によるものであり,睡眠習慣の主観的評価と客観的評価を同時に用いた検討はきわめて少ない現況の中で,本研究の意義は大きいと思われる。また,本研究で得られた知見は,今後,大学生の健康教育やストレスマネジメント教育に重要な情報になり得るとともに,現代社会の睡眠や健康問題に大いに貢献できると考える。
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