研究課題
若手研究(B)
地球をはじめとする惑星は、若い星の周囲にあるガスと塵(ダスト)の円盤(原始惑星系円盤)の中で形成されると考えられている。この円盤の内側には氷が存在できない領域があり、その領域の限界線のことを氷昇華線という。本研究では、原始惑星系円盤の現実的な内部加熱メカニズムを理論シミュレーションを用いて詳しく調べ、氷昇華線が太陽系形成の大部分の期間において現在の地球軌道よりも内側に存在していた可能性があることを明らかにした。また、ダストから惑星が形成される過程と、氷昇華線が移動する過程を矛盾無く取り扱える理論モデルを完成させ、氷昇華線の外側で氷を多量に含む小天体が急速に形成される新たなメカニズムを発見した。
地球は岩石を主成分とする惑星であり、原始惑星系円盤の氷昇華線より内側で形成されたと考えられる。しかし、氷昇華線が具体的に太陽からどの程度の距離に存在していたのかは、これまで謎に包まれていた。本研究により、ダストから惑星が形成される過程と、氷昇華線が移動する過程を、1つの一貫した理論モデルによって研究することが可能になった。さらに、太陽系を生んだ円盤は従来の推定よりも低温だったはずであり、水に欠乏する地球は現在よりも太陽に近い軌道付近で形成された可能性があることを明らかにした。これらの成果は、「地球がどのように形成されたのか?」という人類の根源的な問いの解明を大きく後押しするものである。
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