研究課題/領域番号 |
16K17781
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
生物物理・化学物理・ソフトマターの物理
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鈴木 量 京都大学, 高等研究院, 特定助教 (10768071)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2017年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2016年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 再生組織の物理 / 非平衡形状揺らぎ / 対称性の破れ / 自己駆動型粒子 |
研究成果の概要 |
発生の初期過程において、球状の胚が体軸を決定する過程は極めて重要である。この体軸の決定という「対称性の破れ」を、発生過程のモデル実験系の一つであるヒドラに着目し、非平衡形状揺らぎの全モード解析を行った。 研究成果として、①初期条件の異なるヒドラ切片と単離細胞を再凝集した塊の再生過程における形状揺らぎの全モード解析を行い、どちらの条件でもモード0(平均サイズ)と2(軸方向伸縮)が逆位相になるという共通点を突き止め、これを「対称性の破れ」と定義し、②体軸形成に重要であるWntシグナル経路の促進・抑制によって、対称性の破れだけでなく、再生速度や初期口の生成が著しく変化することを定量的に明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
発生生物学の分野では再生過程によって初期の等方的な胚が成体になる要因に注目した研究は数多く報告されてきたが、それらの多くは分子レベルでの操作による要素還元的な手法を用いた記述にとどまり、組織をシステムとして統合的に捉え、対称性の破れの本質を定量的な物理的リードアウトを用いて定量解析する試みはこれまでになかった。そのため、本研究で得られた成果は学術的に非常に重要である。 また社会的意義として、本研究で扱った対称性の破れは再生に限らず原腸胚形成やがん転移などといった細胞極性が大きく変化する過程の理解にも展開可能であり、特に疾患における対称性の破れの本質を理解する上で重要である。
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