研究課題
若手研究(B)
南海トラフにおける数千年間の地震・津波履歴を調べるため,三重県志摩市,徳島県牟岐町で古津波堆積物調査を行った.志摩市では約5,500-4,000年前の地層から3-5層の津波堆積物の可能性のある地層を発見した.牟岐町では9層のイベント層が見つかり,そのうちの3層から汽水-海生珪藻が産出した.また,これらが堆積した時に沈降していたことも分かった.この3層は南海トラフを波源とする津波で堆積したといえる.3層の津波堆積物の年代は他地域で見つかった津波堆積物の年代と重なる.これらの津波堆積物と地殻変動は,四国東部に広く影響を及ぼす南海トラフで発生した海溝型地震によるものであった可能性が高い.
牟岐町の成果は南海トラフ沿岸地域で津波と地震性地殻変動が同時に検出された初めての事例である.また,本研究で行われたような津波痕跡の高精度・高確度年代測定は,他地域の地震・津波痕跡と正確に対比することを可能にし,歴史時代・先史時代における地震・津波の再来間隔や規模を明らかにするために欠かせない情報になる.数千年の時間スケールの中で地震・津波の再来間隔や規模を明らかにすることは,より合理的な地震発生確率の算出や被害の予測に資する.
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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