研究課題
若手研究(B)
先行研究ではがん性腹膜炎を抑制する化合物としてRNAポリメラーゼ阻害剤α-アマニチンを同定した.本研究では医薬としての利用価値を評価するために,α-アマニチンの毒性メカニズム解明および投与法開発を課題とした.本研究の成果は以下2点に要約された.1. がん性腹膜炎モデルに抑制効果を示したα-アマニチン投与量,0.4 mg/kgでは,どのマウス個体も肝組織における顕著な傷害が観察されないことが判明した.1.2 mg/kg投与群の一部と3.6 mg/kg投与群において核の凝縮や空胞が観察された.2. 担がんマウスにおけるα-アマニチンの毒性を軽減し得たシスプラチンについて,実際に肝組織への蓄積を抑制し得ることを示した.シスプラチンを併用投与したマウス群では,α-アマニチンのみを投与したマウス群と比較して,肝組織中のα-アマニチン量が42%低かった.以上の結果は,がん性腹膜炎に抑制効果を示すα-アマニチン投与量では重篤な肝傷害が起こりにくいこと,および肝細胞のα-アマニチン取り込みにシスプラチンが抑制的にはたらき,α-アマニチンによる副作用軽減に寄与したことを示唆している.本研究と先行研究の成果を統合した論文が平成28年5月16日号のScientific Reports誌に掲載されたほか,関連特許が平成28年3月9日付で公開となった(P2017-48164A).研究代表者の海外留学により本研究は廃止となったが,がん細胞におけるRNAポリメラーゼ結合タンパクを同定するために当研究から派生したプロジェクトにおいて国際共同研究を開始し,現在も継続中である.また,前述の論文で初めて用いられたコロニーライセートアレイ法の技術面に焦点を当てた論文が平成28年9月5日号のAnalytical Chemistry誌に掲載されたほか,関連特許が公開となった(P2017-049222A).
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