研究課題
若手研究(B)
多種多様なきのこ由来揮発性物質の中からタバコの病害抵抗性誘導活性を示す物質を生産するきのこ8菌株を選抜した.そのうち5菌株の粗揮発性物質がタバコに前処理することにより,Botrytis cinereaの発病を顕著に抑制した.発病抑制効果が認められたヤマブシタケとウチワタケの粗揮発性物質処理によって,タバコの病害抵抗性関連遺伝子の発現が対照区と比較して向上した.また,これら粗揮発性物質はB. cinerea 胞子発芽に対しても抑制効果が認められた.このことより,ヤマブシタケおよびウチワタケが生産する揮発性物質はタバコの病害抵抗性を誘導することが明らかとなった.
数種のきのこが生産する揮発性物質が植物の病害抵抗性を誘導することを明らかにしたことは,本研究が初めての報告であり,学術的意義がある.本研究成果によりヤマブシタケおよびウチワタケ由来揮発性の抵抗性誘導物質は,広範囲の病害に有効であることが予想される.また従来の抵抗性誘導剤では薬害が大きな問題となっているが,揮発性物質の特徴により通気によって消失し残留性がなく,さらに処理量の調節が容易であるため,薬害の問題は解決できると考えている.そのため,きのこ由来揮発性の抵抗性誘導剤は,新たな環境低負荷型の病害防除資材として期待できる点に社会的意義があると考える.
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