研究課題/領域番号 |
16K18717
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
森林科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鶴田 健二 京都大学, 農学研究科, 研究員 (70638593)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2016年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2018年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2017年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2016年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 蒸発散 / 森林生態系モデル / 樹液流 / フェノロジー / 森林成長 / 水資源 |
研究実績の概要 |
当該年度は,森林流域における蒸散量の不均一性を明らかにするため,特に地形の違いに着目し,斜面上部・下部,ライパリアンゾーンに試験プロットを設定し,蒸散量データを取得した.樹液流ベースの蒸散量実測値と,生態系モデルから計算された蒸散量推定値を比較解析し,生態系モデルの検証を行った.生態系モデルは,森林生態系内における素過程(群落構造,放射伝達,個葉ガス交換,幹・根・分解呼吸,樹冠遮断,林床面蒸発,熱・水・CO2フラックス及びエネルギーバランス,拡散)をサブモデルとし,林冠上の気象の30分データを入力することで,系内の蒸発散・光合成・呼吸過程の積み重ねとして林冠上の蒸発散・CO2フラックスを出力できる.申請者が本試験地ですでに構築したモデルを原型とし,群落蒸散量の日変化及び季節変化の再現性を細部に渡り検証した.常緑針葉樹においても,冬季の葉の赤変や初夏の展葉など,特有のフェノロジー(生物季節)が存在するため,群落蒸散量の季節変化をモデルでうまく再現できない可能性もある.そのため,気孔コンダクタンスモデルのパラメータで季節変化を再現することを試みた. プロセスベースの生態系モデルは,数十~数百年のスケールの森林成長や気候変動,さらには細かな気象変動が蒸発散量に及ぼす影響を評価する際に有用な手法であるが,これまでのモデルにおいて蒸発散の中でも量的に大きな蒸散部分についてモデルの検証ができていなかった.当該年度の研究内容は,短期的・長期的な蒸発散量変動を予測可能にするためのモデル構築の上で意義があると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,樹液流計測に基づく森林流域内の蒸散量変動の把握,森林生態系モデルのパラメタリゼーション,実測蒸散量データに基づく森林生態系モデルの蒸散部分の検証作業を行うことができた.そのため,本研究はおおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,森林成長に伴う数十年単位の蒸発散量変遷が再現できるように樹木年輪コアデータを用いて森林生態系モデルの改良を行う.樹液流計測を行った五つの試験プロットにおいて年輪コアの採取を行う.採取したコア表面を研磨後,デジタルカメラで撮影し,年輪間のピクセル数を数えることで年輪幅を計測する.年輪幅の実測値の大きさに左右されない相対的な年輪データにするため,「標準化」の作業を行い,本試験流域を代表する年輪データの時系列変動(クロノロジー)を作出する.これにより,過去の気象要素に対する流域の平均的な樹木成長変動を知ることが可能である.フラックス観測に基づく実測GPP変動とその間の年輪データとの対応関係は確認しておく.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は早めに人員確保に動き,野外観測補助として人件費・謝金を使用する予定である.これにより,効率的にかつ迅速な研究遂行ができると考えている.
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