研究課題
若手研究(B)
ハマダラカにおける吸血や血液消化に重要な遺伝子を明らかにするため、性分化遺伝子のノックアウトに伴いメスで血液消化が出来ないハマダラカ系統において中腸や唾液腺の遺伝子発現を解析した。中腸においては野生型との網羅的な比較解析を行い、野生型と比べて吸血後の発現量に差がある遺伝子群を明らかにした。それらの遺伝子のうち、アミノ構造から消化酵素と予想されるアミノペプチダーゼ遺伝子についてCRISPR/Cas9によるノックアウト解析を行い、雌の妊性に関与することを明らかにした。
本研究では血液消化不良をおこすハマダラカ系統を用いることで、血液消化・吸収に関与する可能性のある遺伝子群を明らかにするとともに、これらの遺伝子発現の制御に性分化遺伝子が直接的あるいは間接的に関与することを明らかした。ハマダラカにおいて中腸や唾液腺は血液の消化・吸収や吸血行動に重要なため、これらの組織で発現する遺伝子を制御できれば、吸血不良や消化不良などによる妊性低下や致死により蚊の防除が期待出来る。本研究で明らかになった遺伝子群はマラリアベクター制御のための新しい標的になることが期待できる。
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