研究課題/領域番号 |
16K18839
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
化学系薬学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岩崎 浩太郎 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (10726780)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2016年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2017年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2016年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | レパジン / シスデカヒドロキノリン / ハロアミノ化 / 天然有機化合物 / アルカロイド / 有機化学 / 天然物合成化学 |
研究実績の概要 |
平成28年度はレパジンBの全合成経路確立を目指し検討を行った。先ず鍵となるハロアミノ化反応前駆体として、ジエンを含む側鎖ユニットを有する基質の合成を行った。その結果、出発物質から8工程にてハロアミノ化反応前駆体を合成した。 続いて鍵となるハロアミノ化反応を行った。モデル基質での予備検討で見出した最適条件を適用したところ、低収率に留まるものの立体選択的に環化体を得ることに成功した。得られたオクタヒドロインドールの塩基性条件下のヒドロキシ基の導入を伴う環拡大反応は反応の位置選択性に問題を残すものの、位置異性体混合物として目的物を得ることに成功した。 最後にアミノ基のパラメトキシベンジル基の除去を試みた。定法に従い酸化的な除去、および酸性条件下の除去を試みたがいずれの場合も基質の損壊を招くのみでレパジンBを得るには至らなかった。パラメトキシベンジル基よりも容易に除去可能なベンジル系保護基を用いて検討したが、脱保護は困難であった。 以上の結果を受け、2級アミンに対する求電子的ハロアミノ化反応を適用した合成経路は断念せざるを得なかった。しかし、レパジンB保護体の合成を10段階で行うことができたので、不活性化基をアミンに対して導入せずにアミノ基の反応性を生かして複雑なアルカロイドを短段階合成する、というコンセプトを提示することはできたものと考えている。 また、本研究で得た知見を生かした新たな合成戦略に従ってレパジンBの形式全合成を達成した。すなわち環化反応で確認した課題点を解決すべく、銅触媒を用いた分子内環化反応を適用した。その結果、市販品から10工程にてAmatらが報告しているレパジンB合成中間体(Chem. Eur. J., 2015, 21, 12804)を得ることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初想定していた合成戦略に基づくレパジンBの短段階合成は頓挫したが、市販品から10段階で天然物保護体を得ることに成功した。また、この研究で得られた知見を生かし、新たな手法によりレパジンBの形式全合成を達成することができた。本手法はレパジン類の他の誘導体合成にも適用可能である。以上の理由により全体としては概ね順調に進展したと言える。
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今後の研究の推進方策 |
確立した分子内アミノ環化反応を適用し、他の類縁体の合成に取り組む。
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果の論文化に伴う諸経費として使用する。また、消耗品の購入に充てる。
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