研究課題
若手研究(B)
レム睡眠時に、夢の内容に一致した行動が出現するRBDと呼ばれる睡眠障害がある。RBDは神経変性疾患の初期症状であることが近年明らかとなっている。しかし、RBDの正確な発症部位は疎か、レム睡眠時における筋弛緩の神経メカニズムも未だに明らかになっていない。我々はまず何処のグリシン伝達の破綻がRBDに関わるかを網羅的に調べるため、条件付きグリシン受容体欠損マウスを作製した。その結果、コリン作動性ニューロン特異的グリシン受容体欠損マウスがRBD様症状を示した。このマウスを詳細に調べることによってRBDの表現型にはグリシン単独の作用で十分に発現できることが明らかとなった。
RBDは、神経変性疾患の初期症状であると考えられており、この初期症状を制御することで病気の進展を予防できるのではないかといった考えから、その全容解明が非常に期待されている。本研究では新規にターゲットを絞った遺伝子改変マウスを作成し、RBDの発症にはグリシン単独の作用で十分であることを初めて示した。RBDの発現メカニズムが明らかになれば、RBDから進展する神経変性疾患のより効果的な治療・予防法を提案することが可能となり、現代社会が問題とする健康寿命延伸に対する社会的貢献度は極めて大きいといえることから、今後さらにその詳細を明らかにしていきたい。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
BRAIN
巻: 143 号: 1 ページ: 249-265
10.1093/brain/awz380
分子精神医学
巻: 18(4) ページ: 34-41