研究課題
若手研究(B)
統合失調症や双極性障害、うつ病といった精神疾患において客観的評価を可能にする決定的なバイオマーカーとなる分子は今のところ報告されていない。本研究ではこれらの疾患を対象に、予備的検討により心理的なストレスと相関が示唆された脳型脂肪酸結合タンパク質B-FABPに着目して、血液中の濃度と疾患及び症状との相関を分析した。その結果、この分子がこれらの疾患の発症リスク、及び統合失調症の症状に相関することが明らかになり、B-FABPが精神疾患の客観的評価に有用な分子であることが示された。
本研究で対象とした3つの疾患において、血漿中B-FABP濃度がいずれも対照群より有意に高かったことから、これらの疾患に共通した病態によるものであることが示唆された。このことから、血漿中B-FABP濃度はこれらの精神疾患の発症リスクに関する指標となることが示唆された。また、統合失調症においては臨床症状の重症度とも相関することから、B-FABPは統合失調症における治療効果や薬剤効果の指標としての応用に期待できる。本研究結果から、B-FABPは日常的な血液検査レベルで精神疾患の診断補助や重症度の客観的評価を可能にするバイオマーカーとしての応用に期待できる分子であることが示された。
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