研究課題
若手研究(B)
本研究では高齢者の多くが罹患しているサルコペニア(全身の骨格筋量と筋力が減少した状態)と窒息との関連性について検討した。まず、全国の介護施設に対して行ったアンケート調査において、施設内で過去に食事中に窒息したことのある入所者のうち、88%がサルコペニアの疑いを認めた。また、サルコペニアと口唇閉鎖力、舌圧との関連性について調査したところ、サルコペニアに罹患するとこれらが弱くなる可能性が示唆された。口唇閉鎖力および舌圧はともに咀嚼能力と関連することが知られており、咀嚼能力の低下は窒息の要因となることから、サルコペニアによって口腔機能が低下することで窒息のリスク要因となる可能性が考えられた。
窒息で亡くなる方が年々増加しているが、窒息の要因については未だ不明な点が多い。窒息で亡くなる方の大多数が高齢者であることを鑑みると、高齢者特有の機能低下が背景にあると考えた。そこで、本研究では高齢者の多くが罹患しているサルコペニアに着目し、サルコペニアと窒息との関連性について検討した。その結果、介護施設内で窒息を経験した入所者のほとんどがサルコペニアの疑いがあること、サルコペニアによって口腔機能が低下する可能性を認めたことから、サルコペニアが窒息の要因となる可能性が示唆された。以上のことから、本研究によりサルコペニアに罹患する高齢者を減らすことによって、窒息事故を減らせる可能性が示された。
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