研究課題
若手研究(B)
肺高血圧症の病態形成や進展に,活性酸素種による酸化ストレスの関与が知られている.酸化ストレス反応を統一的に制御する転写因子Nrf2は,HO-1,NQO-1,GCLなどの酸化ストレス消去系蛋白質の発現量を調節する.近年,虚血再灌流障害を加えたHep3B細胞においてNrf2の発現量が低下していることが報告された.また,ユビキチンリガーゼSiah2がNrf2を制御していることが示唆された.Nrf2は肺平滑筋細胞においても活性酸素種による酸化ストレスの消去に寄与する可能性がある.本研究では,肺平滑筋細胞において低酸素負荷下で,酸化ストレス反応を統一的に制御する転写因子Nrf2の機能およびSiah2によるNrf2の制御機序を‘Gain of function’と‘Loss of function’の両面から検討することとした.まずNrf2が低酸素負荷下でのヒト肺平滑筋細胞において,活性酸素種に対しどのような機能を持っているかをin vitroで検討した.今後,Nrf2を制御することが示唆されているユビキチンリガーゼSiah2が肺平滑筋細胞においてどのような機序でNrf2を制御するのかを検討する.また,活性酸素種による細胞内シグナルに与える影響をNrf2とSiah2を過剰発現及びノックダウンし検討する.