研究課題
若手研究(B)
血管内超音波(IVUS)で得られた冠動脈プラーク(n=289)を詳細に解析したことで、睡眠呼吸障害(SDB)の合併が冠動脈疾患患者における責任病変の不安定性に関与していることを明らかにした。具体的には、プラークの不安定性指標であるエコー減衰角度がSDB合併患者で高値である傾向がみられた。SDB合併群のプラークにおいては減衰角度の中央値以上の割合が有意に高率であった(34.9% versus 22.6%; P=0.03)。多変量ロジスティック回帰分析においてもSDBの存在は有意な予測因子であった。従って、SDBの存在は冠動脈疾患患者におけるプラークの不安定性に関与している可能性が示唆された。
睡眠呼吸障害の存在が、冠動脈疾患患者におけるプラークの不安定性に関わることを解明したことで、睡眠呼吸障害が冠動脈疾患リスクであることの再認識と治療介入への期待を示唆したと考える。つまり、高血圧症や脂質異常症などの古典的リスクだけでなく、睡眠呼吸障害のスクリーニングの重要性やそれに対する治療アプローチが厳格な冠動脈疾患2次予防戦略のひとつになる可能性があるからである。今後の課題として、睡眠呼吸障害への治療介入が冠動脈硬化の進展予防効果があるかどうか、心筋梗塞や狭心症の発症が抑制できるかなどが検証されるべきである。
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