研究課題
若手研究(B)
傷害を受けた肺血管内皮細胞は内皮前駆細胞(Endothelial Progenitor Cells; EPCs)が中心となって修復再生が起こる。EPCsの起源については長年議論が続いており、循環血中骨髄由来、肺組織常在性のEPCsのいずれか、あるいは両者が考えられているが、難治性肺疾患の血管修復/再生において、いずれの由来のEPCsが優位に関与しているかは不明であったため、申請者らはARDSと肺高血圧症のモデルマウスを用いて、肺血管内皮細胞の修復再生に優位に関与している細胞群を明らかにする研究を行った。その結果、肺血管内皮細胞の修復再生は、主に肺組織常在性EPCsの活性化により起こることを示した。次に傷害を受け、細胞死を免れた肺血管内皮細胞の形質転換に着目し、ARDSで内皮間葉転換(Endothelial-to-Mesenchymal Transition: EndMT)を来した細胞には二種類存在することを示した。そのうちの一つである内皮細胞の特徴を部分的に残したまま間葉転換したpartial EndMTによって、EPCs様の機能を獲得し、傷害修復に関与することを証明した。またpartial EndMTを呈する細胞は骨髄由来ではなく、肺組織常在性の血管内皮細胞由来であり、先の結果と合わせて肺血管内皮細胞の修復再生機序の一端が明らかになった。また、血管内皮細胞特異的に GFPを発現するトランスジェニックマウスを作成し、それを用いて 肺血管内皮細胞の一部が内皮細胞の機能を消失して間葉系細胞へと形質転換し(complete EndMT)、その一部が間葉系幹細胞のマーカーであるSca-1を高発現しており、ARDS後の肺線維化や肺高血圧症の病態に関与することを証明した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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