研究課題
若手研究(B)
我々はこれまでに野生型(C57BL6J)とNOS完全欠損マウスを用いて喘息モデルを作成して肺の病理学的検討を行い、野生型と比較して、NOS完全欠損マウスでは気道の好酸球性炎症や気管支平滑筋肥厚の軽減、気道分泌の軽減が確認された。また、摘出した肺組織よりmRNAを抽出しRT-PCRにて炎症性サイトカインの発現を検討したところ、野生型と比較して、NOS完全欠損マウスではIL-4, IL-5, IL-13の有意な低下を認めた。これらの結果からは、NO自体が気道の好酸球性炎症や気道分泌、気道リモデリングに対して増悪させる方向に作用している可能性が示唆されており、NOは従来から考えられていた好酸球性気道炎症の結果放出されているだけでなく、喘息の病態に深く関与している可能性が考えられる。PM2.5等の大気粉じんの喘息誘発メカニズムには不明な点が多いが、共同研究者の迎、矢寺、城戸らは、これまでに大気粉じんが肺や気道のみならず、全身炎症を誘発することを動物を用いたPM曝露モデルでの知見として数多く報告してきた。しかし、PM2.5による全身炎症を伴った喘息において、NOやNOSの機序についても明らかになっていない。そこで、野生型とNOS完全欠損マウスで喘息モデルを作成し、PM2.5の曝露を行い、病理組織学的検討ならびにサイトカイン、ケモカインの検討を行い、また、NO、NOSとIgEとの関係を解明するため、野生型喘息モデルマウスとNOS完全欠損マウス喘息モデルに抗IgE抗体の投与による検討も行う予定であった。しかし、平成30年4月1日付けで海外研究機関へ留学するため平成30年3月31日で現在の職を辞職することになり、応募資格を失うため、研究を一時中断することとなった。
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Lung
巻: 194 号: 1 ページ: 121-124
10.1007/s00408-015-9833-4