研究課題
若手研究(B)
抗菌薬や抗腫瘍薬による腎障害は臨床上の問題となっている。しかし、腎障害を生じる機序は不明な点が多く、その予防方法や検査方法も確立していない。我々は腎尿細管に発現するメガリンに着目し研究を行った。研究の結果、コリスチン、バンコマイシン、ゲンタマイシン、シスプラチンなどの薬物はメガリンと特異的に結合し、尿細管に取り込まれ蓄積することで尿細管障害を生じることを見出した。またシラスタチンは上記薬剤に対するメガリン結合の拮抗薬として働くことが認められ、動物モデルで腎障害軽減作用が確認された。臨床例においても効果を示唆する結果が認められている。
抗菌薬や抗腫瘍薬による腎障害は、使用薬の制限を招き治療効果の減少につながっている。いずれも疾患の予後に影響する重要な要因である。本研究により、腎障害機序の一端が解明されたのみならず、腎障害予防薬の有望な候補薬の同定に至った。臨床応用することで、抗菌薬や抗腫瘍薬の治療効果の増強やより幅広い患者層への投与が可能になると考えられる。また薬剤性腎障害は慢性腎臓病の原因となる可能性もあり、その予防を図ることで腎機能温存の新たな治療戦略の開発が期待される。
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J Am Soc Nephrol
巻: in press 号: 6 ページ: 1783-1791
10.1681/asn.2016060606