研究課題
若手研究(B)
鉱物油成分であるプリスタンを腹腔内に投与すると炎症が引き起され腎炎や関節炎など全身性エリテマトーデス(SLE)に類似した症状が起こる。RAGE遺伝子を欠損させたマウスにプリスタンを投与したところ、RAGEを欠損させていないマウスと比較し生存率が改善する傾向にあり、これにはマクロファージという異物を捕食して消化し清掃屋の役割を果たす細胞の関与が考えられた。また別の自然発症SLEモデルであるMRL/lprマウスのRAGE遺伝子を欠損させたところ蛋白尿が減少し脾臓やリンパ節腫大も改善した。以上よりRAGEはSLEにおいて病気を促進する役割を担っており、治療標的となる可能性が示された。
これまでRAGEのSLEにおける役割については相反する報告があり結論が出ていなかった。RAGEの働きを抑えるsRAGEという物質を、SLEモデルマウスに投与するとSLEが改善したという報告がある一方、別のSLEモデルマウスのRAGE遺伝子を欠失させるとSLEが悪化したという報告がなされていた。後者の報告では軽症のSLEを発症するモデルマウスが使用されており、本研究による2つのモデルマウスの検討から、より強い炎症状態にある重篤な病態においてはRAGEはSLEの有望な治療標的となる可能性が示された。
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Molecular Therapy - Methods & Clinical Development
巻: 6 ページ: 31-39
10.1016/j.omtm.2017.05.006