研究課題
若手研究(B)
FimaminnA(FLNA)異常症はFLNA遺伝子の異常により、脳皮質形成異常、心臓弁膜症、難治性出血傾向を伴う血小板減少症、エーラース・ダンロス症候群、中心静脈栄養など、患者QOLを著しく損なう多彩な慢性合併症を伴う疾患である。従来はX染色体優性遺伝形式にて女性にのみ発症し、男性は通常は胎生致死であり、まれに出生しえた場合でも乳児期早期に心不全や凝固異常で死に至るとされていた。FLNA遺伝子は48のエキソンで構成され、繰り返し構造を持つ蛋白に翻訳される。FLNA異常症はそのエキソンの多さと広範囲欠失変異例が多いことから、未確定診断例が多く、疫学、臨床像、病態が十分把握されていない。本研究では研究代表者らが開発した血小板を用いた迅速診断法と遺伝子診断体制、および本邦の患者コホートを用いてFLNA異常症の実態調査・患者集積を行った。その成果として、弁膜症と炎症性腸疾患を発症している非典型的なFLNA異常症の兄弟長期生存例を診断し、文献報告した(Eur J Hum Genet.2017)。さらに本研究の迅速診断法により診断し得たFLNAの新規変異女性症例についても文献報告した(Brain&Development. 2018)。この成果はFLNA異常症が従来の想定異常に多様であり、また開発した迅速診断法の有用性を示しておいる。また本邦におけるFNLA異常症の診断体制の確立・定着にもつながったといえる。今後さらに協力を得た研究者らとともにFLNA異常症の実態調査・患者集積を進めていく。さらに病態解析のためのFLNAエキソンスキップマウスモデルの解析も行った。この解析については本研究が研究代表者の海外留学により研究期間が短縮したことから、また結果に到達しておらず、帰国後に再開するか、他の研究者の引き継ぐかを検討している。
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Brain and Development
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European Journal of Human Genetics
巻: - 号: 8 ページ: 907-907
10.1038/ejhg.2016.192