研究課題
若手研究(B)
心理的ストレスへの曝露や、種々の精神疾患罹患により、テロメア長(TL)やミトコンドリアDNAコピー数(mtDNAcn)が異常を来すことが知られている。我々は自殺既遂者検体と対照者検体のTL・mtDNAcnを定量的PCR法にて測定した。自殺既遂者末梢血では有意にTLが短縮・mtDNAcnが増加しており、年代によって関連の強さに差異を認めた(TL短縮は若年自殺者でより顕著に、mtDNAcn増加は高齢自殺者でより顕著にみられた)。さらに自殺既遂者群の死後前頭前皮質では対照者群に比して顕著なTL短縮、mtDNAcn低下がみられた。
テロメア長短縮は精神疾患やストレスの簡便かつ有用なバイオマーカーになりうることからも大きな注目を集めている。自殺とテロメア、さらにはミトコンドリアとの関連について、大規模な自殺既遂者サンプルを用いた解析が可能な研究機関は世界的に見ても非常に稀少である。本研究成果は、末梢血テロメア長やテロメア長制御遺伝子の発現、ミトコンドリアDNAコピー数を用いた自殺リスクの判定や、生物学的異常に基づいた合理的な創薬などにつながる可能性があり、今後の自殺予防に関する生物学的知見として高い学術的意義を有すると考えられる。
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Scientific Report
巻: 7 号: 1 ページ: 3176-3176
10.1038/s41598-017-03599-8
120006373780
https://www.natureasia.com/ja-jp/srep/abstracts/88534