研究課題
若手研究(B)
WT1療法の臨床試験で得られた神経膠腫の検体を用いた解析で、WT1やHLA class 1の発現量の低下、腫瘍内CD4陽性細胞の減少がWT1療法に対する腫瘍の耐性化に関与している可能性が考えられた。マウスグリオーマモデルを用いた実験では、WT1ワクチン・抗PD-1抗体併用群はコントロール群、WT1ワクチン単独群、抗PD-1抗体単独群と比較して生存期間の有意な延長を認めた。さらにFACSを用いた解析により、WT1ワクチンが腫瘍内免疫細胞浸潤の増加およびMDSCの低下といった腫瘍免疫環境の変化をもたらすことで抗PD-1抗体療法の効果を増強していることが示唆された。
神経膠腫は他のがんと比較しても予後不良な疾患であり、有効な治療法が乏しい。しかも他のがんに比し若年者に多く、早期から麻痺や高次脳機能障害による生活自立度の低下が認められるため、社会的な影響も大きい疾患である。本研究を通して、動物実験レベルではあるが、神経膠腫に対するWT1ペプチドワクチン・免疫チェックポイント阻害剤併用療法の有効性を示し、その作用機序の一端を明らかにすることができた。臨床試験などさらなる研究が必要ではあるが、今後、神経膠腫に対する新たな有効な治療法の確立が期待される。
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