研究実績の概要 |
骨格筋の幹細胞であるサテライト細胞は筋損傷からの修復・再生に欠かせない。本研究では,サテライト細胞の機能的な不均質性を明らかにし,新たな筋修復・再生モデルを検証することを目的とした。まず,個々のサテライト細胞の機能を検証するため,成体マウス長趾伸筋からサテライト細胞を単離し,初代培養系によりクローナルカルチャーアッセイを行った。約10-20%程度のサテライト細胞集団は非常に大きなコロニーを形成することを確認した。一方,一部の細胞は,早期に筋分化を遂げ,結果的に小さなコロニーしか形成できなかった。興味深いことに,大きなコロニーを形成する細胞集団を個別に継代したところ,自己複製したサテライト細胞が再活性化し、全てのコロニーから再び大きなコロニーを形成できることがわかった。また我々は,筋病態モデルでのサテライト細胞の機能変容についても調べた。がんカヘキシアではサテライト細胞の機能が低下することが報告されている。そこでC26大腸がん細胞移植によるがんカヘキシアモデルマウスを作成し,成体マウス長趾伸筋からサテライト細胞が付着する状態で単一筋線維を単離した。単離した単一筋線維を浮遊培養し,サテライト細胞の機能を調べた。しかし,がんカヘキシアを発症した筋から取り出したサテライト細胞の機能は,先行研究で報告されているような機能的低下は観察されなかった。
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