研究課題
若手研究(B)
われわれは、抗炎症作用や利尿作用を有し、炎症を伴う頻尿や尿路結石に対し臨床的に投与されている猪苓湯に注目した。酢酸で誘発される炎症にともなう排尿筋過活動に対する猪苓湯の薬理効果について検討を行っている。SDラットを猪苓湯混餌飼料、あるいは、通常飼料で2週間飼育した。それぞれの飼料で2週飼育したラットに対して、膀胱内圧測定前日に、酢酸、あるいは、生理食塩水を膀胱内に30分間還流したモデルを用いた。猪苓湯混餌飼料で飼育したラットにおいて、酢酸に誘発される炎症にともなう1回排尿間隔時間、1回排尿量と膀胱容量の低下などの排尿筋過活動は、通常食で飼育したラットと比較して抑制される傾向があった。
猪苓湯は日本で一般的な漢方薬である。今回、TRPチャンネルを障害すると思われる酢酸での障害モデルに対して、猪苓湯は軽減させる効果があることが示された。微小循環の改善を経由して発揮された効果と考えられ、組織内の虚血改善に寄与したと考えられる。微小循環障害は、下部尿路障害を理解するうえで、非常に重要な病理である。微小循環障害に起因するさまざまな病態(過活動膀胱や尿失禁)に対して、猪苓湯が有効である可能性が示唆され、また、実験系によりそれが評価できることも示されたので、今後の研究発展につながると考えられる。
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