研究課題
若手研究(B)
カニクイザルES細胞を腎臓組織に分化させるための研究を行った。まず、レポーター遺伝子を挿入したカニクイザルES細胞を樹立しに、腎臓への分化段階を可視化できるようにした。その細胞を用いて腎臓への分化実験を行ったところ、マウスに用いられたプロトコルよりもヒト多能性幹細胞で用いられたプロトコルの方が、腎臓への分化傾向が強かった。しかし、サルのES細胞はヒト多能性幹細胞より不安定であったため、分化誘導をかける前に無秩序な分化を制御する必要があった。そこで、分化前の維持培養下において多能性を維持していない不要な細胞を排除できる新規のES細胞を樹立し、論文として報告した。
ヒトの多能性幹細胞を用いた臓器再生の研究は日進月歩で、近い将来に腎機能を持つ腎臓オルガノイドが開発されることが期待されているが、臨床応用のためには、作製された腎オルガノイドに交通を持つ尿路、血管をいかに構築し、どこにどのように移植するかという課題を解決しなければならない。カニクイザルはヒトに最も近い実験動物モデルであり、臨床前試験に理想的な実験モデルとなりうる。我々の研究成果は多能性幹細胞を用いた腎再生の過程において臨床前試験という重要な段階で大きな役割を果たすと考えられる。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
Stem cell research
巻: Epub ページ: 101439-101439
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Nature Communications
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