研究課題/領域番号 |
16K20169
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
坂本 雅弘 東北大学, 大学病院, 技能補佐員 (50645299)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2016年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2017年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2016年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | エストロゲン / GPER / 卵成熟 / 不妊 / 婦人科疾患 |
研究実績の概要 |
卵母細胞の成熟過程における卵胞発育障害は早発閉経や高齢不妊患者において治療困難な病因であり、それらの病因の大半が原因不明である。本研究は卵母細胞における新規細胞膜エストロゲン受容体GPERの生理的意義について分子レベル・遺伝子レベルで解析し、卵母細胞成熟機構におけるエストロゲン情報伝達経路の役割を明らかにすることで不妊原因の一端を解明することである。また、子宮体癌におけるエストロゲン制御機構において、GPERが関与するシグナル伝達経路が関与しているか否か探索する予定である。 培養細胞やゼブラフィッシュの卵母細胞を用いてGPERを発現させる実験は報告されているが、哺乳動物の卵母細胞に発現させる実験は報告されていない。すなわち、マウス卵母細胞では長期培養系が確立されていないため、実験系の確立には慎重な検討が必要である。そこで本年は、実験に必要なGPER抗体の選別やGPERのmRNA・プラスミドの作製に集中し、本研究計画に支障がないかどうか検討した。 生殖細胞特異的に発現する Baonulcin1(Bnc1)によってGPERの遺伝子発現が制御されるか否か検討したところ、Bnc1による直接的な制御は受けていないことが判明したことから、当初の推測どおりBnc1シグナル系とGPERシグナル伝達とは中間の伝達因子が結合しあうことによって相互に関連しあうことが予想された。GPERの機能解析を行う場合、培養細胞を用いた実験系の方が有利であると考えられるため、今後は子宮体癌由来の培養細胞を用いてGPERシグナル伝達経路のシステムを解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養細胞やゼブラフィッシュの卵母細胞を用いてGPERを発現させる実験は報告されているが、哺乳動物の卵母細胞に発現させる実験は報告されていない。すなわち、マウス卵母細胞では長期培養系が確立されていないため、実験系の確立には慎重な検討が必要である。 本年は、マウス卵母細胞におけるGPERのmRNAがreal-time PCRによって検出されるか否か検討したところ、卵母細胞にGPER mRNAが十分に存在することが明らかになった。生殖細胞特異的に発現するBaonulcin1(Bnc1)によってGPERの遺伝子発現が制御されるか否かBnc1ノックアウトマウスの卵母細胞を用いてGPERの遺伝子発現レベルを検討したところ、発現レベルはほとんど変化していなかったことから、GPERはBnc1によって直接制御されないことが判明した。また、数種類の市販されているGPER抗体を用いてマウス卵母細胞における内在性GPERの局在が検出されるか否かを検討し、使用できる抗体を再確認した。さらに、マウス卵母細胞から抽出したTotal RNAからcDNAを作製し、マウスGPER mRNAの精製を試みた。 また、GPERが子宮内膜症や子宮体癌などの婦人科疾患においてどのような生理的意義をもつか検討するため子宮体癌由来の培養細胞にトランスフェクションできるよう、プラスミドの作製を行った。 これらは今後の研究を進める上で必要なものである。
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今後の研究の推進方策 |
上述したように、培養細胞を用いてGPERの生理的意義を検討する。すなわちエストロゲン以外にGPERを活性化させる促進剤G1や、阻害剤G36などの薬剤を用いて免疫染色法で卵母細胞におけるBnc1の局在が変化するか否かを検討すると同時に、GPERシグナル伝達経路のシステムを解析する。
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