配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2017年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2016年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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研究実績の概要 |
平成29年度にはFkbp5ホモノックアウトマウスの系統を確立し、その聴力を検討した。6-8週齢ホモノックアウトマウスの聴性脳幹反応閾値には(42.1±12.5dB SPL、n=12、 クリックABR)、6週齢野生型マウスの聴力閾値(37.1±7.5dB SPL、n=9)と有意差を認めなかった(p=0.146, t-test)。平成30年4月現在、Fkbp5ホモノックアウトマウスの系統を維持し、引き続き強大音響暴露により難聴を惹起させた条件等での聴力を検討している。 当研究の目的は、急性感音難聴における、Fkbp5を含む、グルココルチコイドシグナリングの機能を解明することである。従って平成29年度には雌6週齢野生型マウスを120dBオクターブバンドノイズに暴露して急性感音難聴を発症させ、蝸牛でのグルココルチコイドシグナリング関連遺伝子の発現を検討した。RT-PCRアレイを用いて、グルココルチコイドレセプターおよび、その下流の転写因子11種類と、その他、グルココルチコイドシグナリングによる制御を受けると報告されている遺伝子の発現を、合計84種類検討した。難聴発症後12時間後には、そのうち92.9% (84遺伝子中78遺伝子)では、難聴発症群と、コントロール群の間で有意な変動はみとめなかった。2倍以上または1/2以下の、有意な変動を認めた遺伝子(p<0.05, n=3)として、Aqp1 (Aquaporin 1), Diras2 (DIRAS family, GTP-binding RAS-like 2),Has2 (Hyaluronan synthase 2), Il1rn (Interleukin 1 receptor antagonist), Il6ra (Interleukin 6 receptor, alpha), Pou2f2 (POU domain, class 2, transcription factor 2)を同定した。 以上の結果より、騒音暴露による難聴発症時の蝸牛では、内因性のグルココルチコイドによる、グルココルチコイドシグナリング遺伝子の大幅な変動はみとめなかった。今後の研究に関して、グルココルチコイドの全身投与、鼓室内投与によって、免疫関連遺伝子等の発現は変動すると予想される。
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