研究課題
若手研究(B)
口蓋裂患者に対する骨量造成法の開発を目指し注射法で造成された骨の経時的変化を検討した。足場材料にはゼラチンハイドロゲル(京都大学再生医科学研究所 生体材料学分野提供)を用いた。8週齢雄性マウス上顎骨にBMP-2を足場と共に注射する非侵襲的な骨造成法を試みても骨に沿って足場材料が流れた分以上には骨は盛り上がらなかったが、BMP-2にRANKL結合ペプチドを加えると骨の厚みが増した。注射しやすい20 μmより小さな粒子径の足場でも盛り上がった骨は7週間かけて骨密度を増した。注射で骨を誘導した際の母骨(マウス上顎骨)の骨密度は、誘導をかけなかった場合の母骨に比べて有意な骨密度の上昇が認められた。
本研究は日々の歯科医療に必要な骨造成法の開発であり、特に幼い頃から何度も観血処置をしなければならない口蓋裂患者の非侵襲的な骨造成法の開発につながる研究でもある。本研究により、手術をせずに注射で骨を増やす方法が発展した。経時的な骨の成熟度合いが明らかとなったことにより、注射法の臨床応用に期待が高まった。また、局所の骨形成促進剤であるBMP-2では不可能であった足場材料よりも厚みのある骨を造成することをRANKL分子に結合するペプチドの添加により可能にした。そのペプチドの骨形成促進メカニズムは、我々が2018年にNatureに掲載された新たな骨形成メカニズムにより説明でき、学術的にも意義がある。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Nature
巻: 561 号: 7722 ページ: 195-200
10.1038/s41586-018-0482-7