研究課題/領域番号 |
16K20956
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
社会学
観光学
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
高橋 雅也 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (00549743)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2017年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2016年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 震災遺構 / ケアツーリズム / スタディツアー / 感情経験 / 保存・継承 |
研究成果の概要 |
震災遺構の見学を中心としたスタディツアーでは、被災当時の光景と現状との対比によって、共有困難な〈経験の絶対性〉を示唆しながら、それに圧倒されているばかりでない、災害と対峙する主体形成を促す被災経験の表象様式が見られた。そこでは〈連続性の断絶〉や〈現在への接続〉など、被災時と日常を一旦分離した後につなぐ作用が見られた。 このようなケアのツーリズムは、被災による感情経験や辛苦を表層的に理解した気にさせる「領有」を回避しながら、〈未来志向の問い〉を共有することで被災していない者にも当事者性を獲得させる「語り」を模索し、練成する真摯な実践によって成立し得ている点を明らかにすることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
学術的意義として、昨今盛んな震災遺構の見学を中心としたスタディツアーに代表される、本来ならば共有困難な感情経験や辛苦について、その埒外にいた者にも当事者性を獲得させる表象行為や語り部の「語り」をとおして、観光体験の提供者と来訪者がお互いの脆弱さとともに了解し合い、ねぎらい、いたわり合う観光様式を新たに「ケアツーリズム」として概念化した点を挙げることができる。またその内実の一端を分析的に記述した点も挙げられる。社会的意義として、そうした真摯な実践について、記憶の表層的な共有(=「領有」)や安直な市場化に与する取り組みとして矮小化する動向から擁護し、正当な評価を促すことができる点が挙げられる。
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