研究課題
若手研究(B)
ヒトはどのように笑顔を使い,その笑顔はどのように社会的な生活に影響を与えているのであろうか。本研究の目的は,笑顔をもちいた乳幼児と他者とのコミュニケーションの進化と発達を詳細に検討し,その背後にある社会的な認知能力について探ることであった。その結果,最初期の笑顔とされる睡眠中の自発的微笑はヒトでは新生児期から少なくとも生後6か月までみられ,ヒト以外の霊長類ではニホンザルにもみられることが明らかとなった。飼育下のチンパンジーの観察では,生後3か月から覚醒中の社会的微笑がみられはじめたが,ヒトにみられるような他者との笑い合いやさまざまな場面における笑顔は少ないことが示された。
ヒトにとって日々の生活の中で頻繁に表出し,みる機会のある笑顔は,あまりに一般的であるため,実は謎が多く残されていることはそれほど知られていない。笑顔について進化と発達の視点から探った研究が少ないのが現状である。どのように笑顔を対他者関係の中で使い,それがどのくらい社会関係の維持に寄与しているのだろうか。多くの場合において快感情のあらわれとして使われる笑顔を探求することは,ヒトやチンパンジーを含む動物にとって,よりよい環境を築く足がかりとなると考えられる。
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