研究実績の概要 |
Hmgb2の心不全病態に対する抑制作用の検討を行うため、心筋特異的Hmgb2過剰発現トランスジェニックマウスの作製を行った。alphaMHC promoter プラスミド(Jeffrey Robbins, J Biol Chem. 1991)を用いて、mouse Hmgb2 cDNA を組み込んだベクターを作製し、トランスジェニック樹立を2回試みたが、ラインの樹立はできなかった。胎児期より心筋細胞特異的にHmgb2を過剰に発現により胎生致死を起こす可能性が考えられた。今後、薬剤誘導性心筋特異的Hmgb2過剰発現マウスを作製し、TAC術前後に心筋特異的にHmgb2を過剰発現させた状況においての検討が必要と考えられた。以前の報告よりラット初代心筋初代培養を用いたHmgb2 ノックダウン解析において心筋細胞肥大を認めていることより(Mol Cell Proteomics., 2012)、ラット初代心筋細胞培養において3種類のHMGB2 siRNA、control siRNAをtransfection させ、心筋細胞のサイズの検討を行った。3種類のsiRNAのいずれにおいてもHMGB2 mRNA発現の明らかな低下を認めたが、心筋細胞の肥大、ANP、BNP mRNAの発現上昇は、コントロール群に比べ明らかな差異を認めなかった。Hmgb2に制御される遺伝子の網羅的探索のため、野生型、Hmgb2 KOマウスのsham群及びTAC群の心臓サンプルを用いてRNA microarray を行い、複数の候補遺伝子を認め、野生型及びKOマウスの心臓サンプルを用いてqRT-PCRにおいて確認を行い、複数の遺伝子を同定した。今後、心不全病態形成においてHmgb2のそれらの遺伝子の制御機構について検討を行っていく。
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