研究課題/領域番号 |
16KK0071
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
国際関係論
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
池田 亮 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (60447589)
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研究期間 (年度) |
2017 – 2019
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
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キーワード | 脱植民地化 / 冷戦 / 中東 / 英米関係 / 西側同盟 / イギリス / 中東・北アフリカ / アジア |
研究成果の概要 |
スエズ戦争後の運河再開に向けた国際交渉の分析を進めている。スエズ戦争後、運河はエジプトの一方的宣言によって再開されたが、それはイギリスの立場を無視するものであり、その権威の失墜を意味するというのが通説的立場であった。しかし実際には、スエズ戦争後は、エジプト領内へのUNEFの駐留と、アメリカによる穏健アラブ諸国への援助ゆえに、ナセルの威信はむしろ低下しつつあった。むしろイギリスは、アメリカと国連に責任を肩代わりさせることでナセルの影響力を封じ込めることに成功したと言える。そしてエジプトがICJの強制的管轄権を受諾するなど譲歩したため、経済的な観点からスエズ運河再開という妥協を選んだのである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
通説ではスエズ危機はイギリス外交の大きな失敗とされてきた。しかし実際はスエズ危機後もイギリスの影響力は消滅することなく、むしろアメリカと国連に肩代わりさせることによって非公式帝国を維持するのに成功したと言える。このように冷戦期には、外見上は戦前の帝国=植民地体制が主権国家体系へと変容しつつも、旧宗主国の影響力が維持されていく過程が見られた。イギリスの影響力は中東ではその後低減するものの、依然としてアメリカとの協力関係は続き、またペルシャ湾岸地域では依然として強力である。このような冷戦後の現代世界を検討するうえで、本研究は重要な知見を提供すると言える。
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