磁気浮上ダイポール磁場配位と大強度陽電子ビームを用いた電子陽電子プラズマの生成（国際共同研究強化）

• 研究課題/領域番号: 16KK0094
• 研究種目: 国際共同研究加速基金（国際共同研究強化）
• 配分区分: 基金
• 研究分野: プラズマ科学
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 齋藤 晴彦 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (60415164)
• 研究期間 (年度): 2017 – 2020
• 研究課題ステータス: 完了 (2020年度)
• 配分額: 15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
• キーワード: 反物質 / 陽電子 / 電子陽電子プラズマ / ペアプラズマ / ダイポール磁場 / 磁気圏型閉じ込め / 反物質プラズマ / 非中性プラズマ / プラズマ・核融合 / 低速陽電子ビーム

研究成果の概要

電子とその反粒子である陽電子から構成されるペアプラズマは，質量比の大きいイオンと電子から構成される通常のプラズマと異なる性質を示すことが予測され，天体現象で重要と考えられている．本課題では，電子陽電子プラズマの実験室での実現を目指して，ミュンヘン工科大学の大強度の低速電子源と，ダイポール磁場配位を活用した研究を行った．コンパクトなダイポール磁場装置において，高効率（ほぼ100%）の陽電子ビーム入射と，比較的長時間（1秒以上）の安定閉じ込めを実現し，ダイポール磁場中で回転電場を用いた軌道圧縮の手法を開発した．超伝導配位で電子陽電子がプラズマ状態を満たすだけの高密度状態の実現は今後の課題である．

研究成果の学術的意義や社会的意義

パルサー等の高エネルギー天体周辺に存在すると考えられている電子陽電子プラズマの性質の解明は，天体現象の理解のために，また核融合等の様々な応用を持つプラズマ物理の進展への寄与の観点からも重要である．本研究では，実験的に電子陽電子プラズマを実現する上で鍵となる，高い効率で陽電子ビームを閉じ込め装置に入射する方法と，安定な閉じ込めを実現した．回転電場をダイポール磁場中で初めて適用し，反物質プラズマの高密度状態を実現するための原理検証がなされた．最終的な研究目標である電子陽電子プラズマ生成には至らなかったが，提案した手法により反物質閉じ込めが可能であることが示され，重要な段階の幾つかが解決された．

研究成果

• [国際共同研究] マックスプランク・プラズマ物理研究所 (IPP)(ドイツ) (2017)
  • 年月日: 2017-04-18
• [国際共同研究] ミュンヘン工科大学 (TUM)(ドイツ) (2017)
  • 年月日: 2017-04-18
• [雑誌論文] Positron orbit effects during injection and confinement in a magnetic dipole trap (2020)
  • 著者名/発表者名: S. Nissl, E.V. Stenson, U. Hergenhahn, J. Horn-Stanja, T. Sunn Pedersen, H. Saitoh, C. Hugenschmidt, M. Singer, M.R. Stoneking, J.R. Danielson
  • 雑誌名: Physics of Plasmas 巻: 27 号: 5 ページ: 0521071-10
  • DOI: 10.1063/5.0007252
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] A new frontier in laboratory physics: magnetized electron?positron plasmas (2020)
  • 著者名/発表者名: M.R. Stoneking, T. Sunn Pedersen, P. Helander, H. Chen, U. Hergenhahn, E.V. Stenson, G. Fiksel, J. von der Linden, H. Saitoh, C.M. Surko, J.R. Danielson, C. Hugenschmidt, J. Horn-Stanja, A. Mishchenko, D. Kennedy, A. Deller, A. Card, S. Nissl, M. Singer, S. Koenig, L. Willingale, J. Peebles, M.R. Edwards, K. Chin
  • 雑誌名: Journal of Plasma Physics 巻: 86 号: 6 ページ: 1558606011-26
  • DOI: 10.1017/s0022377820001385
  • 査読あり / 国際共著
• [学会発表] 高温超伝導小型巻線を用いたダイポール磁場荷電粒子トラップの開発計画 (2020)
  • 著者名/発表者名: 齋藤晴彦, 谷岡樹，西浦正樹，吉田善章
  • 学会等名: 物理学会第2021年年次大会