研究課題
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
低いエネルギーの素粒子反応を大量に精査することで、非常に高いエネルギーでの素粒子物理学を調べるアプローチがある。しかし、低いエネルギーの粒子は、検出器の物質との相互作用(クーロン多重散乱)の影響によりその飛跡が阻害され、検出精度が制限されてしまう。本研究では、超音波溶着を応用した独自技術で開発した導電性薄膜ストロー検出器を真空中で動作させることで、世界で最も軽い素粒子検出器を実現した。これにより、低いエネルギーの荷電粒子を従来よりも遥かに優れた精度で位置検出することが可能になる。
素粒子の基本的な相互作用を理解するためには、より高いエネルギーでの反応を調べる(エネルギーフロンティア)手法が有効であるが、本研究により低いエネルギーでの大量の素粒子反応を従来よりも優れた精度で調べることが可能になり、その結果、大型加速器での高エネルギー衝突反応に依らない、大強度フロンティア実験の有効性が高まる。大型加速器の開発には、非常に大規模な予算・人員・時間が必要であるが、大強度フロンティア実験が高精度で実施可能になると、既存の加速器を用いて実現可能となり、素粒子標準理論を超える新しい物理の探索へ、画期的なアプローチを切り拓くことになる。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
巻: 1042 ページ: 167373-167373
10.1016/j.nima.2022.167373