研究課題
基盤研究(B)
本研究の目的は、溶液中や生体内の込み合った環境下における水素イオン指数(pH)変化を有効的に取り込んだ新規分子シミュレーション手法(ミクロ定pH-MS法)を確立することである。離散的なプロトン化状態遷移モデルに基づいたミクロ定pH-MS法の開発を行った。さらに、この方法に量子化学計算を導入する改良を行った。この手法を適用することで、有機分子やタンパク質のみならず、金属錯体のような無機化合物における安定構造や活性錯体などの構造情報、およびそれらの運動状態や化学的特性におけるpHに依存した特異的な変化を微視的視点から明らかにした。
従来の定pH法では考慮が難しかった微視的な溶媒和構造について、本手法では、溶媒として全原子モデルを使用することが可能であり、溶媒の配向性やエンタルピー変化などの微視的な溶媒効果を考慮することが可能となった。また、溶質分子を量子化学計算的に記述することで、金属錯体系や複数の滴定可能サイトを含む複合的な系に適用可能となり、今後の将来的な応用研究において極めて重要な成果が得られた。
すべて 2018 2017 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件)
The Journal of Physical Chemistry B
巻: 122 号: 39 ページ: 9202-9209
10.1021/acs.jpcb.8b06439
Journal of Chemical Theory and Computation
巻: 14 号: 6 ページ: 3262-3271
10.1021/acs.jctc.8b00271
The Journal of Physical Chemistry A
巻: 122 号: 8 ページ: 2198-2208
10.1021/acs.jpca.7b10999
Organometallics
巻: 37 号: 3 ページ: 343-349
10.1021/acs.organomet.7b00767