研究課題
基盤研究(B)
動物の発生において、組織の細胞集団はしばしば同じ方向の極性を持ち、協調したふるまいや機能を発揮する。極性はWnt経路によって制御されているが、その方向の制御機構はいまだ不明である。我々は線虫の表皮幹細胞の極性方向がWntの濃度勾配依存的機構と、非依存的機構によって制御されていることを明らかにしている。Wntの受容体の一つCAM-1/Rorは体の頭側で多いという発現勾配を示すが、これを逆転させると細胞の極性も逆転する。さらに位置情報を制御するHoxの多重変異体において、極性が異常になることを発見した。Hoxが受容体の発現勾配を作り出すことで極性方向を制御していると推察される。
細胞集団の極性が同調するいわゆるPCP制御は左右軸形成や形態形成など発生の様々な現象に重要である。Wnt濃度勾配が極性方向を制御するというこれまでのいくつかの報告では、均一なWntの発現実験により極性が異常になることを根拠にしているが、単純に過剰発現の結果である可能性を否定できない。我々の結果から他の生物においてもHoxや受容体発現勾配によって極性方向が制御されている可能性が指摘できる。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻: 115 号: 5
10.1073/pnas.1712052115
Journal of Cell Science
巻: 130 号: 3 ページ: 602-613
10.1242/jcs.196717