研究課題/領域番号 |
16KT0092
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 特設分野 |
研究分野 |
グローバル・スタディーズ
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
浅見 裕子 (勝尾 裕子 / 勝尾裕子) 学習院大学, 経済学部, 教授 (70327310)
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研究分担者 |
和田 哲夫 学習院大学, 経済学部, 教授 (10327314)
GARCIA Clemence 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (60440179)
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研究期間 (年度) |
2016-07-19 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2019年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2018年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2017年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2016年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 無形資産 / 特許権 / 利益概念 / 財務報告制度 / のれん / 国際特許 / 会計基準 / 無形資産評価 / 国際会計 / 多国籍企業 / 資産評価 |
研究実績の概要 |
無形資産の会計制度に関する各国制度比較の研究については、のれんの会計処理方法に関する各国の財務会計制度の相違に焦点を当て、昨年度に引き続き、日本の会計基準と国際財務報告基準IFRS及び米国の会計基準との相違について、会計利益の基礎概念の検討を含めて分析を進めた。具体的には、のれんの会計処理について、償却処理と非償却・減損処理の違いを取り上げ、日本の財務報告制度において、のれんに対して償却処理と減損処理を併用する処理が採用されていることの意義について検討した。 今年度は、日本会計研究学会会員を対象とした、のれんの償却処理・非償却処理・減損処理の選択に関するアンケート調査に関する分析を行うとともに、財務諸表におけるのれんの開示状況のうち、特に減損認識について、のれんの財務諸表開示額と減損損失額、減損処理がアナウンスされるタイミング等の詳細データを用いた、のれんの減損認識に関する実証分析を実施した。これらの成果は、ディスカッションペーパーとして取りまとめて公表し、日本会計研究学会全国大会(於東京大学)において報告した。 会計利益の基礎概念の検討については、「財務報告に関する概念フレームワーク」における基礎概念である、投資のリスクからの解放概念に係る研究を進め、数本の論稿として取り纏めた。これらの論稿について研究会報告を行い、書物刊行に向けて準備を行った。また、自己創設のれんと不確実性下で生じるウィンドフォールとの関係について、市場条件の設定の相違から論じた国際共同研究を論文として取り纏め、査読付き海外学術誌に投稿した。 無形資産の制度に係る実証面では、特許単位の計量に基づいていた前年度成果を前提に、多国籍企業それぞれの国際出願ルート選択という形で国際視点から企業単位の分析に進むことができ、実証結果を査読付き海外学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
無形資産の会計制度に関する各国財務報告制度比較については、昨年に引き続き、企業結合に伴い取得した買入のれんの会計処理に関して、規則的償却と減損を併用する会計処理と、減損のみで償却は行わない非償却の会計処理との相違に着目し、それぞれの会計処理を採用する各国の会計基準の相違について、比較検討を行った。 今年度は、日本の無形資産に関する財務報告制度において、のれんに関しては規則的償却と減損を併用する会計処理が採用されていることについて、減損認識のタイミングに関する実証分析を行った。研究成果については、ディスカッションペーパーとして取りまとめるとともに日本会計研究学会全国大会において報告し、査読付き学術誌に投稿する準備を進めている。これについては一定の成果が得られたと位置づけられる。一方、日本会計研究学会会員に対するアンケート調査結果の分析については、中途段階に留まっており、意思決定ツリー分析等の解析をさらに行う必要がある。会計利益の基礎概念については、投資のリスクからの解放概念に関する研究の取り纏めを進めるとともに、国際共同研究として進めていた、自己創設のれんとウィンドフォールの関係を市場の条件から整理し各利益概念を比較検討した論文を完成させ、海外査読誌への投稿を完了しており、一定の成果をあげることができた。 無形資産の制度に係る実証面では、多国籍企業の国際特許ポートフォリオをOECD COR&DIPデータベースに基づいて再構築した前年度成果を利用し分析を進化させることができている。多国籍企業の国際特許ポートフォリオデータを用いた在ドイツ研究者とデータ交換を開始しており、時間と費用のかかる分析基盤の高度化を一歩ずつ進めている。
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今後の研究の推進方策 |
無形資産の会計制度に関する各国財務報告制度比較については、今年度においては日本会計研究学会会員に対する、のれんの償却・非償却・減損処理に関するアンケート調査結果の分析を進め、学会報告及び査読付き学術誌への投稿を目指す。さらに、これまで進めてきた研究成果を取り纏め、のれんの会計処理に関する研究の全体を纏めた書籍の公刊に向けた準備を進める。 会計利益の基礎概念については、無形資産の会計制度を包摂する概念的枠組みである「財務報告に関する概念フレームワーク」における利益の基礎概念に照らした問題点の検討は一定程度完了しているが、のれんの認識に影響を与える会計利益の基礎概念に存在する揺らぎに関する検討については、投資のリスクからの解放概念に関する論点に未検討の点が残されているため、それらの論点を整理し、研究会等における報告及び査読付き学術誌への投稿を目指す。 多国籍企業の国際特許ポートフォリオデータを用いた実証研究は非常に手間と時間がかかることから、欧米各国にも研究者の数は多くないが、その中で国際研究協力を活用し共同研究となりうる仮説を複数検討し分析を進める。特許出願数などで日本は依然として大きな世界シェアを占めているので、海外からの関心を重視し分析深化を目指す。
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