研究概要 |
問題・目的 平成15,16年度の特定領域研究(2)より,小・中学生のインターネット使用に関して,以下の3点が見出された。(1)インターネット使用頻度が高い子どもは,抑うつ傾向が高まる一方,科学的・知的な事象への関心も高まる。(2)インターネットを用いた理科の授業を楽しいと感じる子どもの割合が,他の理科の時間よりも高い。(3)課題解決学習でインターネットを用いる子どもの中には,発表時に自分で作った資料に読めない漢字があることに気づく者もいる。そこで,本研究では,以下の3点を検討することを目的とした。(1)インターネット使用は,理科や他の授業,家庭での使用頻度が高まっているが,インターネットの使用は,子どもの知的関心・追究意欲に影響を与えるのか。(2)知的関心・追究意欲は,学習意欲や適応を高めるのか。(3)それらの関連の仕方に学年差はみられるのか。方法 質問紙調査法:小・中学生のインターネット使用の影響へ注目。対象:小学4年生〜6年生 約3,000名。調査時期:第1回調査2006年7月,第2回調査2007年2月。調査内容:インターネット使用率,インターネットの使用形態,追究意欲,科学的興味・関心,学業への自信,毎日の学習時間,将来展望,学校生活への満足感,仲間関係,心理的健康等。結果 分析の結果,主に,以下の4点が示唆された。(1)インターネットの使用は,小・中学生の知的関心・科学的興味関心を高める一方で,抑うつをも高める。(2)小学生では,教育熱心な家庭環境と,インターネットを使用する頻度の高さが関連している。(3)中学生では,身体を動かすことや外交的人間関係へのネガティブな意識とインターネット使用頻度の高さが関連している。(4)家庭環境を反映しない程度までインターネットの普及率が高まれば,小学生でのポジティブな関連が見られなくなる可能性も懸念される。
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