研究概要 |
(1)複数枚プリント用紙の自動認識機構の検討 従来使用していたデバイスでは紙を検知することができなかった。そのため生徒は紙交換後に,明示的にページ切り替えを行う必要があった。この問題を解決するため,紙のIDを読み取り,ペンがどの紙に書いているのかをシステムが自動的に判断する仕組みを備えたデバイスを利用するための検討を行った。またシステムを改良し,データベースに記録された筆記情報を扱えるようにすることで,従来のデジタルペンデバイスと併用可能とした。 (2)デジタル筆記情報の移動と追記による復習活動と,学習効果に与える影響の調査 生徒がデジタルペンによって記録した電子ノートを有効に利用するには,授業中のフィードバックや共有だけでなく,授業の復習時にも使用することが望ましい。我々はデジタル筆記情報が移動や削除,追記などの編集作業によって学習ノートを再構成しやすい点に着目し,復習活動におけるデジタル筆記の追記・再構成作業が学習者の理解度に与える影響を調査した。実験の結果,デジタル筆記による電子ノートであっても,追記や再構成を伴う復習活動が良い影響を及ぼすことが示された。 (3)AirTransNoteシステムへの動的再配置機能と筆記再現機能の追加 リアルタイムに取得可能なオンライン筆記(時系列情報を含む筆記)を有効に活用するため,筆記の動的再配置機能と,筆記再現機能を追加した。動的再配置機能を用いると,生徒の筆記表示パネルを回答別やカテゴリ別にグループ化できる。筆記再現機能は,スライダを使ってタイムマシンのように時間をさかのぼって表示したり,筆記が書かれた順にアニメーションで再生したりする機能である。 (4)AirTransNoteシステムの運用実験と評価 デジタルペンで取得した生徒の紙への筆記をプロジェクタに投影し,筆記を再現しながら生徒が相互に影響し合いながら進める授業を設計し,運用実験を行った。
|